新町曳山「飛龍」は弘化3年に製作されました。
当時、醤油製造業の岡口屋前川仁兵衛と酒屋の石田伊右衛門の2人が、京都南禅寺にいた中里家の日羅坊という人を訪ね、南禅寺の板戸の障壁画に描かれている飛龍を見て帰りました。
2人はそれを祖型にして曳山を製作するために、当時、学にも秀でていた唐津焼の名門陶工の中里守衛重広(第9代太郎右衛門であり、後に人間国宝となった人)と中里重造政之の兄弟に、曳山製作を依頼したのです。
ですから、曳山「飛龍」は珍重な工芸品でもあるのです。
塗師は中島良吉春近となっています。
飛龍とは、文字通り、空を飛翔する龍を意味します。
また、「飛龍天に在り」という言葉があるように、聖人が天子の位にあることを例えて言う言葉でもあります。
飛龍は麒麟、鳳凰、亀とともに、中国では四霊と呼ばれるものの一つであり、神秘的な動物とされています。

著:戸川 鐵
(一部抜粋 「唐津神社の神祭と曳山に関する抄録」より) 唐津曳山を研究するための資料
※写真撮影:鶴丸 誠 2012年11月3日